天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
 自分ひとり生き残ったことを申し訳なく思っていた。一度は緩んだその気持ちが、再び目覚めたのは、母の死だ。

 大人達の会話は聞いておらず、目の前のお菓子に夢中になっているふりをして、脚をぶらぶらとさせる。ここにはジャムタルトがない。次はジャムタルトも用意してもらおう。

「ニコラとオーランドにも助けられました」

「ええ……あのふたりから、連絡はもらっていたわ。ミリエラがいい子に育っているというから、こちらからは踏み込まなかったの――でも」

 祖母はそこで言葉を切った。ミリエラの方に向き直り、浮かんだ涙をハンカチで拭う。

「もっと早く会いに行けばよかったわ。こんなに愛らしいんだもの」

 この人達は優しい。父も含めて優しすぎる。

 けれど、こうして再会することができたのだ。ここから、新たな道を作ることができる。それで今は十分だ。

 

 * * *

 

 その日の夜は、伯爵家にジェラルドも宿泊することとなった。

 ミリエラひとり預けてもよかったのだ――伯爵夫妻が信用できる人達だというのはよく知っている。

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