天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
 耳を澄ましていると、彼の足音はまったく逆方面に向かったようだった。くすくすとひとり、ミリエラは笑う。

(私が見つかるまで、どのくらい時間がかかるかな?)

 こんなところに隠れているとは、思わないかもしれない。一応、侯爵家令嬢なのに、庭師が道具をしまっておく小屋の側なんて。

「……おーい、ミリィ、カーク、どこだ?」

 ディートハルトの声は、どんどん遠ざかっていく。

 ミリエラはふぅと息をついた。しばらくの間は、問題なさそうだ。

 ディートハルトは、カークも見つけることができないらしく、ふたりの名を呼ぶ声ばかりが響く。

 あまりにも時間がかかるようなら、一度、こちらから声をかけてあげた方がいいだろうか。

 なんて、思っていたら、不意に目の前の光が遮られた。

 ぼうっとしている間に、誰か来たらしい。

「ごめんなさい、邪魔するつもりじゃ――」

 庭師の邪魔をしてしまったのかと思い、慌てて立ち上がろうとしたら、目の前の人物は庭師ではないことに気がついた。

(……誰?)

 茶色のローブに、白いズボン。少なくとも、こんな格好で草木の手入れはしない。

「わわ、わ――!」
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