天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
大声をあげる前に、鼻と口に濡れた布があてがわれた。じたばたするものの、大人の力にはかなわない。大きく息を吸い込んだとたん、頭がくらりとする。
(これ、まずいんじゃ……?)
ようやくここで気がついた。ミリエラは誘拐されかけているらしい。
だが、なぜ、王宮の中で誘拐なんか――。
(えっと、エリアスを呼んで助け……)
だが、口が上手に回らない。意識ももうろうとして、思考がばらばらだ。
エリアスの名を呼ぶ前に、ミリエラの意識は闇に沈んだ。
気がついた時には、見たことのない部屋に転がされていた。
(うぅ、わかりやすい誘拐事件……!)
あんなところに隠れた自分がいけなかっただろうか。まだ、泣くほど心細くはないものの、悪い方、悪い方へと考えが向いてしまう。
まだ眠っているふりをしながら、周囲の様子をうかがう。
それにしても、ここはどこだろうか。
ミリエラは、柔らかなベッドに寝かされていた。とはいえ、手足は拘束されているし、口は塞がれているしで、快適な状況とは言い難い。
(……エリアス、助けて!)