天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
 椅子の上で懸命に身体を揺する。がたがたと音がするのに、ふたりとも気づいていないようだった。

「よくもって、素手でどうするつもりだ?」

 いくら貴族といえど、王宮に来る場合には武器の持ち込みは禁止だ。だが、父はまったく気にしていないようだった。

「娘を守るためならば、なんだってできる!」

 勢いよく右手が翻ったかと思ったら、拳が男の腹に叩きこまれた。その勢いで男は壁にめり込みそうな勢いで吹き飛ばされる。

 一撃で完全に床に沈んだ男にはそれきり目もくれず、父はミリエラの方に向き直った。

「ミリエラ……すまない。私が目を離したばかりに……! 陛下との謁見などすっぽかしてしまえばよかった」

 先ほどまでの相手を殺しそうな威圧感はどこへやら、父はミリエラを拘束していたベルトを、傍らの机に置かれていたナイフでいきなり切り裂いてしまった。

「――パパ!」

 真っ先に父の名を呼び、ミリエラは父の首にすがりついた。

「どうやって、ここがわかったの」

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