天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
 身体を揺すろうとするけれど、椅子にしっかりと縛り付けられていてそれもできない。そろそろ、エリアスが助けてくれてもよさそうなものなのに。精霊達が物体に干渉できることは、父とのお茶会で証明済みだ。

(――エリアス!)

(まあ、待て、もう少し。もう少しだけ、な)

 エリアスは姿を見せることなく、声ばかりが聞こえてくる。そして、ミリエラの周囲を飛び回っている風の精霊猫はみゃあみゃあきゃあきゃあ楽しそうだ。

 力任せに、男の方に顔を向けられた時だった。

 まるで爆発音のようなドガーンッ! という音がしたかと思ったら、部屋の内側に扉が吹き飛ばされる。

「私の娘に何をする!」

 すさまじい勢いで飛び込んできたのは父だった。

 椅子にくくりつけられているミリエラを見るなり、父の形相はますますすさまじいものへと変化していく。

「――こいつよくも!」

「んんんんー!」

 ミリエラは懸命に声をあげようとした。父はどちらかと言えば線の細い美青年路線だ。そんな父が飛びかかったところで負けてしまいそうだ。

< 267 / 294 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop