天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
「いいんだよ、ミリィ。僕は、ここにいなくてもいいんだ。侯爵、僕も弟子にしてもらえませんか」

 ここにいても、ディートハルトの立場は不安定だ。それなら、いっそ、ミリエラ達と一緒に暮らした方がいいのかもしれない。

「ミリィ、ディーが来てくれたら嬉しいな」

 ――この子は。

 ディートハルトに手を伸ばし、抱きしめてやりたい気分に陥った。ここにカークがいたなら、きっと彼もディートハルトの手を取っただろう。

「……すまない。少し考える時間をくれないか。侯爵、あとで話す時間をとれるだろうか」

 居心地の悪い沈黙が続く中、長い間考え込んでいた国王はようやくそう口を開く。
それは、父親としても国王としても苦渋の決断だっただろう。ジェラルドは、表情を引き締めて一礼した。
ミリエラも、父にならって頭を下げる。スカートを摘まみ、一歩右足を後ろに引いて、完璧な淑女の礼を。
これは、子供の戯言じゃない。真剣な言葉なのだとわかってほしかった。

「かしこまりました」

 王妃はまだ何か言おうとしていたけれど、開きかけた口を閉じてしまった。彼女の顔が歪んでいる。

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