天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
 不意に耳に、風の精霊がささやきかける。ミリエラが頼んでもいないのに。

『あの人、ディーのことが大切なんだよ』

『一番は、自分の子だけどね』

『でも、ディーがいなくて寂しいみたい』

 にゃあにゃあにゃあ。みゃあみゃあみゃあ。

 ミリエラ以外、誰にも聞こえない精霊達の声。

 王妃も、王妃なりにディートハルトを大切に思っている。魔術師の暴走はとめられなかったのは、彼女がいくらか甘かったから。

「王妃様――風の精霊が教えてくれた。王妃様は、ディートハルト殿下が大切なのね」

 ミリエラの言葉に、王妃は目を見開いた。顔をくしゃくしゃとさせたかと思ったら、彼女の目から涙が零れ落ちる。

「……義母上。どうか、そんな顔をしないでください。僕は、僕がやるべきことをするだけですから」

「いいえ、殿下。私達は、あなたにとんでもない重荷を背負わせてしまった――」

「大丈夫です。僕は、皆が大好きです――だから、侯爵領で暮らしてもいいですか」

 駆け寄ってきた王妃が、ディートハルトを抱きしめる。今まで彼女のことを誤解していたのかもしれないと、その様子を見ながらミリエラは反省したのだった。
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