天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
それから十日ほどが過ぎた。
王宮ではいろいろあったらしいが、あれ以来ミリエラは王宮に行っていないのでよくわからない。子供には説明する必要もないということなのだろう。
人の家の事情に首を突っ込むつもりもないから、事情は聞かないようにしている。
「ミリエラ、ちょっといいかな」
「なぁに、パパ」
カークと部屋で絵本を読んでいたら、ジェラルドが部屋にやってきた。ひょいとミリエラを抱き上げた彼からは、ふわりといい香りが立ち上る。
くんくんと香りをかいでみるけれど、なんの香りなのかはわからなかった。香水ではなさそうだ。
「侯爵様、俺も一緒に」
「いや、君はここで待っていてくれ」
ついてこようとしたカークは制し、ジェラルドとミリエラ、親子ふたりで外に出る。
王都で過ごしている間に季節はすっかり変わり、もう春の足音も聞こえ始めようとしていた。
「ディートハルト殿下のことだけど」
「うん」
ジェラルドはミリエラを抱え上げたままだから、すぐそこに彼の顔がある。ジェラルドは遠くを見ていた。
彼の目は、いったい何を見ているのだろう。