天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
「王国史上初だと思うよ。私もすべての歴史を知っているわけではないけどね」

 ディートハルトが父親のもとを離れなければならないのは胸が痛いが、彼は優しい。

 権力の側にいるのは、あまり似合わない気がする。

 それに、ミリエラ自身、あまり権力には近づかない方がいいなと思い始めている。だったら、大切な友人であるディートハルトもグローヴァー領まで来ればいい。

 そして、カークも一緒に、皆でいろいろな魔道具を作るのだ。

 ミリエラは、空を見上げた。どこまでも鮮やかに青いその空に、そっと手を伸ばしてみる。
 そう言えば、この世界では、この空を飛んだことのある人はいない。皆と一緒なら、空だって飛べそうな気がする。

「パパ、ミリィは、パパと皆がいてくれたらそれでいいよ。王様とかどうでもいい」

 あとは、グローヴァー領の皆が幸せであればそれでいい。というのは、傲慢だろうか。

 でも、ミリエラの手はそれほど大きくない。ミリエラの目が届いて、手が回せる範囲の人達が幸せであればそれで十分ではないだろうか。

「――そうか。では、ディートハルト殿下も、弟子としてお迎えしようね」

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