天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
 父が好きなのは、食べやすい大きさのミートパイ。それに、香辛料をきかせた侯爵家特製のクラッカー。これに、チーズをのせて食べるのが好きだそうだ。

 ミリエラの好きなものも知ってほしかったから、イチゴのジャムをたっぷり使ったジャムタルトも用意してもらう。

(……少しでも、私のことを覚えてくれたら)

 "ミリエラ"ではなく"私"が顔をのぞかせる。心臓に手を当て、深呼吸を繰り返した。

 そわそわと、傍らに用意した時計を見てみる。約束の時間ちょうど。

 でも、まだ父は来ない。

 五分過ぎた。まだ、来ない。

 十分経過した。まだまだ、父は来ない。

 だんだんとミリエラの肩が落ちてくる。

(……やっぱり、嫌だったんだ)

 後悔の念が押し寄せてくる。

 やはり、父を招待すべきではなかったのだ。今まで五年間、一度も会いに来なかったのに、今さら会いに来てくれるだろうなんて甘過ぎだ。

「まったく、あいつは何を考えているのだ」

 ミリエラの側に座っているエリアスが、ぐるぐると唸った。彼の機嫌も悪くなっているらしい。

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