天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
「――そうだね。懐かしくて、懐かしくて――それに、恋しくてしかたがないんだ」

「ママが?」

「……そうだよ」

 そう聞いてしまえば、胸が締めつけられるような痛みを訴えてくる。

 この人は、こんなにも母を愛していた。母の命を奪ったミリエラを、側に置いておきたくないほどに。

 だが、ミリエラはそれ以上何も言わなかった。ジェラルドの膝の上で向きを変え、彼の身体に腕を回す。

「ねえ、パパ。まだ、ミリィがいるよ?」

 手を伸ばし、髪を撫で、そして濡れた頬に自分の頬を寄せる。

(ねえ、パパ)

 ミリエラは心の中でささやく。母のように愛してほしいとは言わない――だから、この世のすべてを諦めないで。

「……あっ」

 けれど、無情にもオルゴールの音は途中で途切れてしまった。そして、空中に浮かんでいた画像もふわりと消えてしまう。

「……パパ?」

「壊れてしまったようだ。このオルゴールも、古い品だから」

 立ち上がったジェラルドは、そっとオルゴールを手に取る。蓋を閉じると、何度も何度も愛おしそうにそれを撫でていた。

 

 * * *

 

「――パパ?」

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