天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
 結局、迷い迷って、三十分も遅刻してしまった。どうしても、ミリエラの顔を正面から見ることができなかった。

 だが、精霊王が力を貸してくれる。娘の目には、世界がこんな風に見えているのかと驚いた。

 どこからか聞こえる音楽。風にのってくるくると舞う精霊達――そして。

 こちらに向けて満面の笑みを向ける愛しい子供。

 触れてしまえば壊してしまいそうで。それでも――手を伸ばさずにはいられなかった。今まで、五年もの間遠ざけてきたというのに。

 それでも、ミリエラはジェラルドから離れようとはしなかった。

 

(ミリエラに、アウレリアの姿を見せてやろう)

 そう決めたのは、薔薇園での茶会から三日ほどが過ぎた日のことだった。

 あれからもずっと考え込んでいた。

 果たして、自分の行動は正解だったのか――と。

 だが、ミリエラはアウレリアの姿を知らない。ここには、在りし日のアウレリアの姿を記録したものがたくさんあるというのに。

 折りに触れて見返すそれは、出会った頃からのアウレリアの姿を残したもの。

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