あやかし戦記 見えない糸
期待した目でイヅナが訊ねると、ギルベルトは頬を赤く染めながら微笑む。そしてゆっくりと頷いた。
「そうだね。多くの妖を殺すことなく捕らえることができるよ。色んな拘束具をこれから製作するね。だからツヤ、実験体になってね」
「このクソガキ!さっさと鎖を解け!」
ニコニコと笑うギルベルトをツヤは睨む。普段ならすぐに手を出しているのだが、今は縛られているため悪口を言うしかできない。そんな様子を見て、イヅナの心は喜びで満ちていく。
「……これで、ニコラスさんの時みたいな思いを誰にもさせずに済むわ」
ニコラスを奪われ、怒りと悲しみに満ちた子どもたちの顔は今でも覚えている。そんなイヅナを、レオナードとヴィンセントはジッと見つめていた。
「ところで、ギルベルトさんはどうしてこちらに?」
ヴィンセントが訊ねると、ツヤに巻き付いた鎖を解きながらギルベルトは口を開く。
「実はさ、隣国にいるアレス騎士団の団員に届けてほしいものがあるんだよね。手紙じゃないから、式神では届けられなくて」
「届けものなら、お前の部下にやらせればいいだろ。何故そんな話をあたしの部下にするんだ?」
「そうだね。多くの妖を殺すことなく捕らえることができるよ。色んな拘束具をこれから製作するね。だからツヤ、実験体になってね」
「このクソガキ!さっさと鎖を解け!」
ニコニコと笑うギルベルトをツヤは睨む。普段ならすぐに手を出しているのだが、今は縛られているため悪口を言うしかできない。そんな様子を見て、イヅナの心は喜びで満ちていく。
「……これで、ニコラスさんの時みたいな思いを誰にもさせずに済むわ」
ニコラスを奪われ、怒りと悲しみに満ちた子どもたちの顔は今でも覚えている。そんなイヅナを、レオナードとヴィンセントはジッと見つめていた。
「ところで、ギルベルトさんはどうしてこちらに?」
ヴィンセントが訊ねると、ツヤに巻き付いた鎖を解きながらギルベルトは口を開く。
「実はさ、隣国にいるアレス騎士団の団員に届けてほしいものがあるんだよね。手紙じゃないから、式神では届けられなくて」
「届けものなら、お前の部下にやらせればいいだろ。何故そんな話をあたしの部下にするんだ?」