惚れ薬を飲んだせっかち男爵はとにかく今すぐ結婚したい
 目を覚ますと、寝心地の良いふかふかのベッドの上に寝かされていた。

 今のはただの夢・・・?それとも・・・

「エリーゼ!!」

 突然、私の視界の中に焦った様子のルーカスが現れた。
 さっきまで見ていた幼い姿ではなく、大人の見慣れたルーカスだ。

「大丈夫か!?怪我は無いか!?どこか体におかしい所はないか!?」

 続けざまに質問してくるルーカスの姿に、圧倒され、とりあえずコクリと頷いた。
 それでもルーカスは落ち着かない様子で心配そうに私を見つめている。
 
 そんなに心配しなくても大丈夫だよ・・・。
 だって・・・ルーカスが守ってくれたんでしょ?
 
 そう彼に伝えなければ・・・。

「大丈夫・・・」

 ・・・あれ・・・?おかしいな・・・声が上手く出てこない・・・。

「・・・エリーゼ・・・?!?泣いてるのか?やはりどこか痛むのか!?腕か!?腕が痛むのか!!?」

 ルーカスの視線は私の右腕を指している。そこには赤黒い手形のような痣が出来ていた。さっき私の腕を掴んだ男の仕業だろう。

「エリーゼ・・・すまない・・・俺がもっと早く駆けつけていれば・・・こんな事には・・・」

 悲しみに染まるルーカスの瞳が・・・その姿が、あの時のルーカスの姿と重なる。
 私は勢い良く起き上がり、ルーカスの体を引き寄せ、力を込めて抱きしめた。

「!!?・・・え・・・エリーゼ・・・!?」

「大丈夫だよ。ルーカスはちゃんと私を守ってくれたじゃない・・・今回も・・・あの時も・・・そうでしょ?」

「・・・え・・・?」

 抱きしめた手を緩めてルーカスを見ると、顔を真っ赤にしながら、驚き困惑していた。

 大丈夫・・・。今度はちゃんと触れられる。声も届いてる。
 こんな痣なんかに、ルーカスが傷つく必要は無い。
 そして、この左手もだ・・・。

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