酔いしれる情緒


幾ら考えても答えは導き出せず、


今は考えるよりも一旦心を落ち着かせようと外の景色に視線を向けた、が。





軽く衝突した肩と肩。



春は私の肩に腕を回しては、抱き寄せたのだ。





「まだ寝てていいよ」





細いくせにガッシリとしているその部分。


肩に回した手を徐々に頭へと移動させては
私の頭をコテンと自身の肩に置いた。



表情は見えない。


けど、なんだろう。




声が………普段と違う。





普段の鬱陶しいくらいの明るい声でもなければ


とても色気を感じるような声でもなく。



吐息と共に吐き出されたような、

力を失くしたような、そんな声だった。





(元気が、ない?)





その事に気づいてしまうのは、今までこの人の近くで生活していたから。



たった数ヶ月だとしても、

春の少しの変化でさえ気づいてしまう。




違和感を覚えつつも、頭の痛さは変わりなく痛い。



ズキズキと痛み、目を開けていることでさえもしんどくて、私は春にされるがまま肩に頭を預けた。





(なんでこんな事に……。)





ここに春がいるってことは、もうどこか遠くに行く仕事は終わったってこと?



春も橋本さんと会った?


橋本さんが春に私を引き渡した?




でも、なんで、そんなこと。



橋本さんは私と春の関係を良い風に思っていないはず。





「っ、」





悶々と静かに考え事をする私の頭をふわふわと優しく撫でる春。



きっと寝ているとでも思っているのだろう。




そうやって優しく撫でられると

眠さはなくても心地いい気分になる。




頭痛がいつの間にか消えてなくなってしまったくらい、とても落ち着く。

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