酔いしれる情緒
ずっと鳴っていたブザー音が止まった。
春はその音に
気づいていたのか分からないけど
出る素振りも、気にする素振りも見せず
メガネ越しにあるその瞳に
ずっと私を映してた。
鳴り止んだ事に安心感はない。
鳴り止んだってことは、
きっと、ここに、由紀子さんが来るはず。
ずっと待たせていたんだし、これ以上迷惑をかけるわけにもいかない。
コイツを、引き止めていられないのだ。
「言われた通り、今日からここで寝るから」
その瞳と目を合わせる。
こんな時でさえも変わらず
綺麗な顔立ちに綺麗な目。
それら全てを頭にも心にも刻みつけるようにジッと見つめた。
もう二度と会えない。
なんて、考えたくないけど。
もしも、そーなってしまうのなら
「だけど、覚えてて」
胸ぐらを掴み、引きつける。
至近距離には春のムカつくほど綺麗な顔。
「私はアンタのことが死ぬほど好きで」
こんなの、キャラじゃないけど
「この先何があっても、それだけは変わらない」
言わずにはいられなくて。
「私の心は、ずっと、春のものだよ」
言って。その閉ざされた口に
今度は私から口付けを落とす。
これが誓いの証ってことにして。