酔いしれる情緒



床に落ちた帽子を拾い、深く被るその姿をジッと見つめた。



目が合えば、春はまたふわりと笑う。





その度に私の胸は反応し、高鳴っては、
眉根を寄せて顔を顰めた。





ほんと……どこかおかしいのかもしれない。




好きになることに歯止めが効かない。


心穏やかでは、いられない。





「凛。」





私を呼ぶその声がなんだかかぐわしくて


誘われるように手を伸ばしてしまう。





手を伸ばした先にはもちろん春がいて


真っ直ぐ私を貫く、その瞳。





私は春に依存している。


それは前よりも、もっと。





春はそんな私の手を優しく包み込み、
軽く引っ張っては、その腕の中に抱き竦めた。






「凛は俺が好きで、」






耳元にされたキスはあまりに唐突で






「俺も凛が好き。」






香りやぬくもり、甘く私を見つめる瞳に酔いしれて。






「───────だったら、誰に何と言われようと引き裂かれる訳にはいかないよね」






ドキドキと高鳴るこの音が


どうかバレませんように。

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