酔いしれる情緒
「まだ営業時間外なんですけど」
「ちょうど今、営業時間内になった」
「………………」
言われて時計を見てみる。
10時開店のこの本屋。
今時計の針が示しているのは、ピッタリ10時。
「ね?」と私に笑みを見せるコイツにまたイラッとした。
あーもう無視だ無視。
「あれ貼り終わったよ」
「どうも」
「あのさ、」
「邪魔。どいて」
「………凛。」
「アンタに構ってられるほど暇じゃないの」
割と大きな声で言ってしまった。
レジカウンターでパソコンを触っていた店主からの視線を感じる。
だけどその視線さえも気にならないくらい、私は苛立っていた。
「私もう振り回さないでって言った。意味わかる?もう関わらないでって、そう言ってんの」
下から春の顔を見上げ、睨む。
ムカつく、ムカつく、ムカつく。
あれだけ顔隠せって言ったのに、
今じゃサングラスだって外してる。
ほんとコイツの考えてることが分からない。
私以外、ここには人がいるというのに。
苛立ちはピークに達し、
私はあの言葉を春にぶつける。
「私達どうせ名もない関係なんだから」