初恋マリッジ~エリート外交官の旦那様と極上結婚生活~
首をかしげると、おじさまの隣にいた紺色のジャケットを着たお兄さんが、私の目線に合わせてしゃがみ込んだ。
「はじめまして。結城直斗です。小夜子ちゃん、七歳のお誕生日おめでとう」
「ありがとう」
言葉の意味はわからないけれど、おじさまが『自慢の甥っ子』と言うのなら、私も仲良くなりたい。
「ねえ、直君。小夜子とお友だちになってくれる?」
不意のお願いに驚いたようだ。彼のブラウン色の目が丸くなる。でも、それはほんの一瞬で、すぐに瞳を細めてクスクスと笑い出した。
なにがおもしろいのか理解できずキョトンとする私の前で、彼が大きくうなずく。
「いいよ」
「本当に?」
「うん」
兄よりも年上の人と友だちになるのは初めてで、彼についてもっと知りたいという気持ちが込み上げてくる。
「直君は何歳?」
「十七歳」
「おウチはどこ?」
「パリ。父親がフランスの日本大使館の大使なんだ。だから家族でパリに住んでいる」
直君の話は、幼い私には少し難しい。
返す言葉が見つからずに戸惑っていると、彼が言葉を選びながらゆっくり語り始めた。
「先週から学校がイースター休暇に入ったんだ。だから僕だけ日本に戻って、叔父さんの家でお世話になっている……って言っても、よくわからないか」
彼が頭を掻いて、困った表情を浮かべる。