初恋マリッジ~エリート外交官の旦那様と極上結婚生活~

平日は仕事と家事をこなし、週末になると実家で講師演奏の練習に励む。そんな忙しない日が続いて迎えた二月。音楽教室の休憩時間は、二週間後に控えたバレンタインの話題で持ちきりだ。

「小夜子先生は旦那様に手作りチョコをプレゼントするんですか?」

披露宴で入場曲を演奏してもらったふたつ年下の麻衣先生が、おにぎりをもぐもぐ食べながら尋ねてくる。

彼はウィーンでザッハトルテをオーダーした私の前で『甘い物は、あまり好きじゃない』と言った。

「甘い物が苦手だから作らないかな。麻衣先生は手作りするの?」

「はい。トリュフチョコを作って彼氏にプレゼントするつもりです」

彼女が頬を緩めてフフフッと笑う。

その楽しそうな様子を見ていたら、私もなにか作って彼に喜んでもらいたいという気持ちが込み上げてきた。

今年のバレンタインは金曜日。平日は帰りが遅い彼を待たずに先に夕食をとるように言われているけれど、バレンタイン当日はごちそうを作ってふたりで一緒にディナーを楽しむのもいいかもしれない。

分厚いステーキもおいしそうだし、海の幸をたっぷりのせた海鮮丼も捨てがたい。

二週間後のバレンタインに思いを巡らせ、なにを作るか頭を悩ませた。
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