初恋マリッジ~エリート外交官の旦那様と極上結婚生活~
喜んでくれてよかったと安堵したのも束の間、『お祝い』の意味がわからず首をかしげる。すると、彼が腰を屈めて私の両肩の上に手をのせた。
「今日、異動内示が出た」
「えっ、どこ?」
「オーストリア。ウィーンだ」
まさか、馴染みのあるウィーンに赴任するとは思ってもみなかったのだろう。
私と同じ目の高さになった彼の瞳は少年のようにキラキラと輝いて、気持ちが高ぶっているのがわかる。
彼と再会した思い出の地であるウィーンで暮らすのは私もうれしい。
「休みの日には足を延ばして、湖が綺麗なハルシュタットやアルプスの山に囲まれたインスブルックに行こう」
私の両肩にのっていた大きな手が背中に回り、キュッと力がこもる。
「私ね、ザルツブルクに行ってみたいと思っていたの」
「モーツァルトの生家か。案内するよ」
私を抱きしめる彼の顔を見上げ、オーストリアでの新生活に思いを馳せる。
「なんだか旅行に行くみたいだね」
つい、はしゃいでしまったと思っていると、彼がコホンと咳払いをした。