初恋マリッジ~エリート外交官の旦那様と極上結婚生活~

「本当の俺はピアニストになれなった悔しさを美琴のせいにして、憂さを晴らすような心の狭い男なんだ。軽蔑したか?」

彼が瞳を揺らして尋ねてくる。

今までひとりで苦しい思いに耐えてきた彼を思うと、どうしようもなく胸が痛んだ。

「ううん。軽蔑なんかしないよ。直君はひとりで充分がんばってきた。だからこの先、つらいことがあったときは私を頼ってほしい。だって私たち夫婦でしょ?」

「そうだな」

彼が私の左手を取り、薬指にはめられたお揃いのマリッジリングにくちづけを落とす。

その愛情あふれる振る舞いを目にしたら、彼を愛しく思う気持ちが胸いっぱいに広がった。

「今まで誰にも言えずにいた思いを小夜子に聞いてもらったら、心が軽くなった。ありがとう」

清々しい表情を浮かべた彼が私の腰に腕を回して顔を寄せて来ると、スイートルームに漂っていたシリアスな雰囲気が一気に甘いムードへと変化した。

彼がオーストリアに旅立ってから、ふたりが顔を合わすのは二週間振り。お互いの温もりに飢えているとわかっていても、私にはまだ確認しなければならないことがある。

「ちょっと待って。まだ聞きたいことがあるの。私って、美琴さんに似ているの?」

私に近づいて来る動きを止めるように、彼の肩に手をあてる。
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