初恋マリッジ~エリート外交官の旦那様と極上結婚生活~
出会ったときは七歳だった私も、もう二十七歳だ。
お酒はそれほど強くないけれど、夜公演の〝ソワレ〟を鑑賞しているのだから、ムーディーな雰囲気を楽しみたい。
「もちろん飲めます」
頬を膨らませて子供扱いされた不満をあらわにすると、彼が納得したようにうなずいた。
「それもそうか。買って来るからここで待っているように。いいね?」
「はい」
飲み物を手に持ち、歓談している人の間をすり抜けて行くうしろ姿を見つめる。
普段から体を鍛えているのだろう。真っ直ぐ伸びた背筋は凛々しいし、ダークグレーのスーツの上からでも胸板に厚みがあるのがわかる。
気が利くうえに見た目もカッコいい直君は、絶対モテる。今まで何人もの女性と付き合ってきたのだろうし、そもそも私より十も年上なんだから結婚していてもおかしくない。
特定の人がいるのかどうか気になるのは、直君が初恋の相手だから?
自分でもよくわからない感情に戸惑っていると、こちらに向かって歩いて来る彼の姿が見えた。
「待たせたな」
直君が結婚しているのか、この目で確認しようと心に決める。
別に悪いことをしているわけではないのに、ソワソワしてしまう自分にあきれ、グラスを差し出す彼の左手に視線を向けた。
その左薬指にマリッジリングはない。