初恋マリッジ~エリート外交官の旦那様と極上結婚生活~
翌日。紺色のフレアスカートにレモンイエローのカーディガンを羽織り、鏡の前に立つ。
「おかしくないよね」
ひとり言を言って、鏡に映り込んだ自分の姿を見つめる。
十も年上の彼と少しでもつり合うように、大人っぽく見える服を選んだつもりだけど、なにしろアドバイスしてくれる人がいないから困る。
「うん、大丈夫」
自分に言い聞かせるようにつぶやき、部屋を出てエレベーターに乗る。
昨夜、彼は『十時に迎えに来る』と言っていたけど、部屋まで来てもらっては昨日と同じように手間取らせてしまう。だったら、ロビーで待っていればいい。そう思い立ったのだ。
グランドフロアに着いたエレベーターから降りて、彼が来るのを待つ。
約束の時間まで、あと十分ある。
まるで、デートの待ち合わせをしているみたい。
頬が勝手に緩むのを実感していると、回転ドアを通る彼の姿が見えた。
黒のジャケットに、細身のジーンズスタイルがよく似合っている。昨日のスーツ姿も素敵だったけれど、ラフな服装もカッコいい。
「直君、おはよう」
胸をときめかせて駆け寄ると、彼が目を丸くした。
「おはよう。部屋で待っていてよかったのに」
「早く準備できたから降りて来ちゃった」
「そうか」
納得したようにうなずく彼と笑みを交わす。
「ここから少し歩いた場所に、おいしいレストランがあるんだ。案内する」
「うん」
今朝は九時に起きて、冷蔵庫にあったリンゴジュースを飲んでからなにも口にしていない。
ブランチを楽しみに、ホテルを後にした。