初恋マリッジ~エリート外交官の旦那様と極上結婚生活~
澄み渡る青空のもと、中世の歴史を感じる建物が数多く残るウィーンの美しい光景を眺めながらしばらく歩を進めると、レストランに到着する。
「どうぞ」
「ありがとう」
ドアを開けてくれた彼にお礼を言って中に入り、案内された窓際の席に腰を下ろした。
白い壁にベージュ系のフローリング、木製のテーブルとイスが並んでいるナチュラルテイストの店内は、シンプルだけどとても落ち着く。
「素敵なお店だね」
「ああ。なにを食べる?」
気持ちが和むなか、彼が広げたメニューを覗き込む。けれど、ドイツ語で書かれたメニューを見ても、どんな料理なのかさっぱりわからない。
ここは、このレストランに案内してくれた人に聞くのが一番いい。
「直君のおすすめは?」
「これかな。ボリュームがあって安くてうまい」
メニューを指さす彼の説明は、簡潔でとてもわかりやすい。
「じゃあ、それにする」
「了解」
店員を呼んでドイツ語でオーダーを済ませる彼は、頼りがいがあってとてもカッコいい。
今日一日、直君と過ごせる喜びを噛みしめて窓の外に広がる景色を眺めると、ひと際目を引く建物に気づいた。
「ねえ、直君。あれって、モーツァルトが結婚式をあげた教会じゃない?」
窓ガラス越しに見える、街の中央部にそびえ立つ塔を指さす。