初恋マリッジ~エリート外交官の旦那様と極上結婚生活~

スクランブルエッグとハムとチーズ、スモークサーモンがのった大きなお皿のほかに、パンとコーヒーと自家製ジャムがテーブルに並ぶ。

「わぁ、すごい!」

思わず声をあげると、彼が小さく笑って丸いパンを手に取った。

「これはカイザーゼンメルと言って、オーストリアでは一般的な食事パンなんだ。こうして好きな物を挟んで食べる」

彼がカイザーゼンメルにスクランブルエッグを挟んで、ひと口味わう。

「うん。うまい」

笑みを浮かべて口をモグモグ動かす様子をかわいらしく思いつつ、彼を真似てカイザーゼンメルを頬張る。

「んっ、おいしい」

「だろ?」

「うん」

サクッとした軽い食感のためか、何個でも食べられそうな気がするから怖い。

旅行中に太って、持ってきた服が着られなくなるのは困ると思っても、おいしい料理を口に運ぶのを止められない。

今度はスモークサーモンで食べようと、二個目のカイザーゼンメルに手を伸ばした。

「この後、どこに行きたい?」

彼がコーヒーをひと口味わいながら尋ねてくる。

本当はモーツァルトの生まれ故郷として有名なザルツブルクにも行きたいけど、ウィーンからだと電車で二時間半ほどかかるらしい。

日帰りだと慌ただしくなりそうだし、ザルツブルクのほかに行きたいところはある。
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