初恋マリッジ~エリート外交官の旦那様と極上結婚生活~
荘厳な佇まいで重厚感があるシュテファン大聖堂の中に入り、内部を見回す。
アーチ型の天井はどこまでも高く、柱を飾る彫刻の数々は繊細でとても美しい。
「直君、すごいね」
「ああ、そうだな」
威厳のある光景に胸を熱くして声をかける私に、彼が微笑む。
昨日は自由気ままなひとり旅もいいものだと思ったけれど、感動を分かち合える相手がいるのはやはりうれしい。
頬を緩めて彼の顔を見上げると、なぜか手をキュッと握られた。
「えっ?」
突然のスキンシップに驚き、手もとに視線を向ける。
「嫌か?」
「い、嫌じゃないよ」
「そうか」
彼の大きな手に包まれると安心できるから、ちっとも嫌ではない。けれど、恋人でもないのに手を繋ぐのは、不自然なような気がしてならない。
「あの……」
理由を尋ねようと声をかけたものの、彼は天井の小窓から差し込む太陽の光を見つめている。
ウィーンの観光スポットは、どこも多くの人で賑わっている。急に手を握ってきたのは、はぐれないようにするためで深い意味はない。
自分にそう言い聞かせても、彼の温もりを感じて高ぶった気持ちは少しも静まらなかった。