初恋マリッジ~エリート外交官の旦那様と極上結婚生活~
今日の彼は、白いVネックシャツの上に紺色のテーラードジャケットを羽織っている。
堅苦しくなりすぎない洗練されたスタイルがカッコよくて、胸がさらに高鳴る。けれど、いちいち彼にときめいていたら心臓がもたない。
今日こそは大人の彼につり合うような、落ち着きある振る舞いをしようと心に決めた。
土曜日ということもあり、ショッピングバッグを持った女性の姿が目につくなか、彼と並んで中央通りを進む。
「日本に戻ると、無性に寿司が食べたくならないか?」
海外暮らしに慣れている彼の口から出た、意外な言葉に驚くと同時に、日本人らしい感覚を微笑ましく思う。
「お寿司というか、お米が食べたくなるよね」
「ああ、そうだな」
お互いの顔を見つめてクスクスと笑い合う。
他愛ない会話を楽しんでいると、目的地である寿司屋に到着した。
白い暖簾をくぐり、引き戸を開けてくれた彼にお礼を言って中に入る。
「いらっしゃいませ」
「結城です」
「お待ちしておりました。どうぞこちらです」
白壁に無垢材の内装が映える、和風モダンな店内はほぼ満席。
予約してくれていたことをうれしく思いながら、着物姿の女性店員に案内された一枚板のカウンター席に並んで腰を下ろす。
「苦手な物はあるか?」
「ううん。とくにないです」
「そうか。わかった」