宿敵御曹司の偽り妻になりました~仮面夫婦の初夜事情~
そんな一花達に、決定的な事が起こってしまった。
一花や島谷の伯父の留守を狙う様にして、
父の弟、大田原勝男が頻繁に母の元を訪れるようになっていた。
大田原は、母を騙してサインさせたのだろう。
父が残してくれたお金や保険金を自分の投資に回してしまったのだ。
病を抱えた母は、子供達の為にと投資したのだろうが…。
一花や伯父が気付いた時にはもう、歩の授業料くらいしか残っていなかった。
「すまなかった、一花ちゃん。自分も妻も商売していると留守が多くて
あんな男が来ているなんて気付かなかった。」
「伯父さん、私もよくお母さんを見ていなかったから…。」
「一花ちゃん、うちはこの通り古いからバリアフリーじゃあないしねえ。
お医者様が言う様に、そろそろお母さんは在宅が厳しいんじゃあない?」