宿敵御曹司の偽り妻になりました~仮面夫婦の初夜事情~
「進行しています。」
医者からの言葉は残酷だった。
「これまではご自分の事はかなりお出来になっておられましたが…
ここからは、入院生活をお勧めします。」
一花は信じられない気持ちで医師の話を聞いていた。
「なるべく普通に暮らして行けたらと思って…施設を選んだんですが。」
「一花さんが頑張って介護されていましたけど、あの頃でも在宅は限界でしたね。
今はずっとお母さんの病気は進行しているんです。」
「そんな…母はまだ、50なのに…。」
「呼吸不全の状態は改善が見込めないんでしょうか…。」
「酸素が吸入できないと危険です。嚥下機能も落ち込むでしょう。」
「症状が落ち着いても…。もう回復は難しいんですか?」
一花は一縷の望みを込めて聞いてみた。
「そうですね…。病院で過ごされるのが一番安心な状況です。」