宿敵御曹司の偽り妻になりました~仮面夫婦の初夜事情~
母が倒れた日から一週間経った夜、一花はトボトボと港から別荘へ歩いていた。
母の呼吸が落ち着いて安定してきたので、一度島に帰ってきたのだ。
忙しい弟の歩の顔も見られたし、母を今後どうケアしていくか相談も出来た。
島を飛び出してきたから、アルバイトや採用試験の結果も気になる。
「しっかりしなくちゃあ…。」
母のような難病患者を受け入れてくれる病院があると歩が教えてくれたので
近隣の市や町で、空いている病室がないか探す事にしたのだ。
今の施設よりコストも随分と抑えられるし、
何よりリハビリが継続して出来るのが母の症状にはありがたい。
「しっかりしなくちゃ…。」
島谷の伯父や歩に負担が掛からないようにしなければ…。
島に帰ってきたのはいいが、疲れているからか港から別荘までが遠く感じられた。
ポツポツと灯る電柱に付けられた明かりを頼りに歩いていたが、
ふとコテージの方を見たら、真っ暗かと思っていたのに明かりがついている。
「山形さんが来たのかな?」
カギを開けて中に入ると、リビングにはパソコンと睨めっこしている陸がいた。