キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
「ええっ!?」
智成は私の肩を抱いたまま好戦的にお兄ちゃんを見遣り、お兄ちゃんは苦虫を噛み潰したように睨み返した。
ふたりの顔を交互に見て私は唖然としてしまった。
智成はこれで十分だろとでも言うようにポンポンと私の頭を撫でまたハンバーグを食べ始めた。
いやいや、説明!
「さっき電話でも念を押しただろが〜。だからやなんだよ、親友と妹が付き合うだなんて、あ~っムカムカする!」
「知って、たの? お兄ちゃん」
グビグビビールを飲むお兄ちゃんに伺うように聞く。
さっき電話でもってことは智成に電話代わって話してたのはこのこと?
「知ってるもなにも、お前たち隠してたつもりだろうがバレバレなんだよ」
こそこそといちゃついてたの気づいてないとでも思ってたのか? と言われてボンっと噴火するように顔が熱くなった。
「だから、隠してるつもりないって」
落ち着いている智成はお兄ちゃんにバレていたことは知っていたようだ。
私に黙ってるなんて酷いわ。と、智成を睨む。
「だから言ったろ? 隠す必要ないって」
肩を竦めた智成に脱力。
そして思い出した。
「知られてるってことは、まさか、智成お兄ちゃんに殴られたんじゃ……」
「ぶっ、ないない」
噴き出し手を振った智成に驚きお兄ちゃんを見た。
「殴りたいのはやまやまだけど、殴ってないぞ。そんな顔すんなよ茉緒」
つい眉を顰めてしまったからか、今度はお兄ちゃんが私の頭をポンポンと撫でる。
「じゃあ、お兄ちゃん、私たちのこと……」
認めてくれてるのだろうか?
期待と不安が入り混じりお兄ちゃんを見つめると、んんっと咳払いしたお兄ちゃん。


< 103 / 252 >

この作品をシェア

pagetop