キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
「正直、認めたくない。が、無闇に反対したって逆に燃え上がるのが恋愛ってもんだ。仕方ないから目を瞑ってやる」
「お兄ちゃん……ありがと」
心底嫌そうな顔したお兄ちゃんははあっとため息を吐いた。
渋々なのはちょっと悲しいけど、認めてくれたことには変わりない。
腕に抱きつきお礼を言うとお兄ちゃんは苦笑いを零した。
「おいっ、なんで陸翔にくっついてんだ」
兄妹でいちゃつくな! と智成は私とお兄ちゃんを引き剝がそうとする。
「妬くな智成。俺たちは兄妹という強い絆で結ばれてんだ。たとえ智成でも俺たちを引き剥がすことはできないぞ」
「なにを偉そうに! 俺と茉緒がいちゃつくと烈火のごとく怒るくせに」
「当たり前だろう! お前らのいちゃついてるところなんか見たかないんだよ!」
「俺だってお前らがいちゃつくのは見たくないんだよ!」
いつの間にかふたりの間で私は腕を取られ引っ張り合いになっていた。
なんなのこの状況、付いていけない。
右に引っ張られ左にに引っ張られ、げんなりとした私はため息をつき、ぶんぶんと腕を振りふたりの手から逃れた。
「いい加減にして!」

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