キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
帰りのタクシーの中、一緒に乗るはずのなかった俺が乗り込み面食らっていた白川社長は何かあると気づいたのか、腕を組み俺が口を開くのを待っているようだ。
「社長、いや、伯父さん」
伯父さんと言ったことでプライベートな話だと悟った社長はフッと鼻で笑いこちらを見る。
俺の言いたいことは分かっているようで口の端が上がっているのがなんとなく憎らしい。
「今日の会食、まるで見合いのようじゃないですか。俺は見合いはしないと言ったはずですが?」
「今日は有川社長との会食だと言ったはずだが?」
「娘がいるとは聞いていません。彼女は今わが社の社員ですよ?」
「それでも有川社長の娘には変わりないだろう。会食は仕事であっても職場ではない。彼女が有川社長の隣にいても何も問題ないのでは?」
「では、これはあくまでも会食であって見合いではないと?」
「どう捉えるかは人それぞれだろう?」
ったく、ああ言えばこう言う。喰えない人だ。
ふふんと鼻で笑う伯父がほんとに憎らしくなってきた。
だが、ここで恨み辛みを言っている場合ではない。
何とかこの人をこちらの味方にせねば。
「わかりました。今回は会食で見合いではない。と、俺は捉えることにします」
「くくっ、頑なだな」
独り言、聞こえてますよ。
ぴくっと顔が引きつりそうなのを堪え俺は伯父を見据えた。

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