キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
「ふむ、付き合う相手は選べと言ったはずだが、その子と付き合うことでもたらす影響を考えたことはあるか?」
俺にとってはいい影響しかないと言い切れる。ただ、反対はされるだろうな。
茉緒には好奇な目を向けられる可能性がある。それは避けたいところなのだが。
「俺にとっての影響は微々たるものです。ですが……」
「彼女はお前の立場を知っているのか? なかなか厳しい環境にさらされることになると思うが」
「それは、俺が全力で守ります」
俺の母も元は一般人で、父の許に嫁いだ。
大企業の妻というだけで名が売れ父に付いてパーティーなどに顔を出す機会が増えると気苦労も多かったと聞く。華やかな世界というものはその裏で羨望嫉妬が渦巻くものだ。
茉緒もその中に投じられると思うと申し訳なく思う。
伯父もそこを指摘してるのだ。陸翔が心配してるのもその辺が絡んでいるだろう。
そう考えて、ふと気づいた。
父と伯父は親友同士、そして母は伯父の妹だ。
「伯父さんも陸翔と同じ……」
「ん?」
「陸翔……八坂兄は俺と妹が付き合うのに反対してるんです。伯父さん、親友と妹が結婚するのはどんな気持ちなんですか?」
「ふっ、はははは……そうか、そうだな。八坂くんと同じで私も妹を親友に取られた口だ」
俺と茉緒が付き合うのを快く思っていない陸翔の心境が知りたいと伯父に訊いてみると、伯父も陸翔と同じ境遇だと気づいて笑い出した。
「智成も成司(せいじ)と同じだったとは、血は争えないな。八坂くんの気持ちがわかるよ。嫌だったな、大事な妹が親友に取られるのは。知らない男と結婚してくれた方がよっぽどよかった」
成司とは父の名だ。
母が知らない男と結婚した方がいいなんて言われると陸翔もそう思っているのかと思うとちょっと辛いな。
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