キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
「もう!人前であんなことするのやめてよ恥ずかしいじゃない!」
車で来ていた智成にさりげなくエスコートされ助手席に座り、当たり前のようにエスコートされる自分に頭の片隅で馴れって怖いなと思う。
それでもこれだけは言っておきたいと、智成も運転席に乗り込むと早速文句を言った。
「牽制しておかないと、俺の居ぬ間に取られちゃ堪ったもんじゃないからな」
「え? なんのこと?」
独り言のように呟いた智成に訊き返したけど、返ってきたのは濃厚なキスだった。
「ちょ、はうっ」
思わず変な声が出て離れようにもがっちり頭を固定されされるがまま。
舌が絡み狭い車内に水音と熱い息遣いだけが響いて羞恥心を煽る。
やめてほしいなんて言おうものならそれごと吞み込まれて抵抗する気力も削がれ蕩けさせられた。
ここお店の近くの駐車場でいつ常連さんに見られるかもわからないっていうのに、もうそんなこともどうでもよくなるくらいいつの間にかキスに没頭してしまった。
でもさすがに息が苦しくなって離れようとすると追うように唇が迫りまた塞がれる。それを何度かやって堪らず腕をバンバン叩くとようやく離れてくれた。唇から名残惜しそうに銀の糸が伸びキスの濃厚さが表れてるようで恥ずかしくなった。
熱い吐息を零した智成の目は欲情を湛えた瞳で少し困ったように微笑む。
「帰ろう、うちに」
「うん」
素直に頷くとにっこりと笑った智成はエンジンをかけ車を発進させる。
遠ざかる私の住むマンション。
帰るというのは智成のマンションだ。
突然智成が現れたのは驚いたけど、こうでもしないと私たちはなかなか会うことができない。
だから智成が時間を見つけて会いに来てくれて本当はうれしい。
智成の運転する凛々しい横顔を見つめ私の頬は緩んだ。

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