キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
……で、結局……結局ですよ。
あれからベッドに行ってもやらかし、散々イかされ気が付いたらもう九時過ぎだった。
ご飯作るはずがそんな時間はなく、ささっとできるうどんをすすって門限の十時に間に合うように車に乗り込み送ってもらうことになった。
「茉緒、なんでそんなに不機嫌なんだよ」
むすっとした顔をする私を横目にハンドルを握る智成はわけがわからんって顔をする。
流された私も私だが、全くこの男、乙女心がわかってない。
十日ぶりの彼氏との再会。
せっかくだもの、久しぶりに手料理を振舞ってふたりでたくさん話をして、その後はまったりと映画でも見ていちゃいちゃして恋人の時間を満喫したかったというのに。
蓋を開けてみれば家に着いた途端、全速力のように何度も抱かれて啼かされて、へとへとになったところに慌ててうどんだけ食べて帰るだなんて、それって、なんていうか……。
「ただエッチしにいっただけ……」
「っ! ごほっ」
ぼそっと呟いたら智成にも聞こえていたみたいだ。
急にむせた智成は目を泳がせながら口元を覆っている。
前、ちゃんと見ようね、運転中なんだから。
「それは、あれだ、我慢しすぎて爆発したというか、茉緒が煽るから止まらなかったというか」
「ちょっと、私が悪いの?」
口を尖らせ横目で睨むとちょうどマンションに着き車が止まった。
パーキングにシフトを入れた智成がおもむろに手を伸ばしてくる。
「茉緒がかわいいからいけないんだ」
甘い声で文句を言われ首の裏に回った手に引き寄せられもういつもの意地悪な顔が迫ってくる。
「なによそれ」と文句を言いつつ目を閉じようとした、ら。
コンコンコンコンッと何度も窓をノックする音に驚いて振り向いた。
するとそこにはぶしつけにも覗き込む鬼の形相が!

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