キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
「見合い?」
初耳の言葉につい声が出て智成を見た。
智成はギュっと眉を寄せてお父さんに挑むように睨みつけている。
「その件は断っているはずです。まさか部下として送り込まれるとは思いませんでした。少し横暴すぎやしませんか」
「有川商事のご令嬢だぞ? 聡明で美しいお嬢さんでお前に似合いだと思ったから勧めたのだ、会う前から断ることはないだろう。会えばきっと気に入るはずだと思った。送り込んだのは公私ともに支えてもらえるように考えた父としての配慮だ」
親子の会話にしては、智成より少し低い重厚感のある声は一言一言がなんだか重く聞こえてその威圧感に圧倒されそうだ。
その会話の中でお父さんは智成に相応しいご令嬢とお見合いを勧めていて智成はそれを断っているのだと、ここで初めて知る事情に私は頭が混乱しそうだった。
私、もしかして邪魔者なの?
「父さん! 彼女の前でそういう話をしないでください。今まで父さんの言われるがまま言うことを聞いてきたが俺はもう子供じゃない。俺の将来は俺が決める。結婚まで口出ししないでもらいたい」
「ふん、私に盾突くとはいい度胸だな」
子供をあしらう親の威厳というのか、余裕そうなお父さんは尚も睨んでくる智成を鼻で笑った。
ぐっとこぶしを握り言葉の出ない智成。
まるで蛇に睨まれた蛙だ。あの智成が負けている。さすが智成のお父さんだ。
なぜかそんなことを考えながらお父さんと智成を交互に見た。
お母さんがお父さんの袖をツンツンと引っ張りお父さんに何かを囁いて私に向かってにっこりと笑った。
え? なに? なんでしょう?

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