キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
「ほおおおおお〜」
上を見上げて思わす声が出てしまった。
なんとかたどり着いた会社は見上げてもてっぺんが見えないほど高いビル。
Ehecatl corporation(エカトルコーポレーション)
看板はひとつだけみたいだからこのビル全部がひとつの会社らしい。
確か貿易関係の会社だったと思うけど、いろいろグループ会社があってその中のひとつと言っていた。それ以上詳しいことはわかんない。
それにしてもこんなおっきなビルだもん、社員は何百人といそうだ。
お兄ちゃん、こんなすごいとこで働いてたんだね。知らなかったよ。
ひとしきりビルを見上げながら関心してると、入口前に黒塗りの高級車が停まり運転手らしい人が出てきた。
わあ、お偉いさんが乗るのかな?ドラマみたいにほんとに運転手付き高級車に乗るんだ。
ボケっと眺めていると運転手は私を見つけジロリと訝しげに見てくる。
あ、私今、サマーニットにロングスカートでおっきなエコバッグふたつ抱えて、オフィス街にまったく似つかわしくない格好だ。しかも田舎者丸出しでうろうろしてたら不審者扱いされてしまいそう。
ヤバいわ、変に思われる前に帰ろう。
そう思ってぎこちない笑顔を運転手に返して踵を返そうとしたとき。
ガラス張りの出入口から数人出てきて、運転手は私に向けた視線を彼らに向け後部座席のドアを開け礼をしている。
お、お偉いさんが出てきたのかな?
思わず気になって見てると聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「……です。お車の中で柳川物産との会談で使用する資料をご確認ください」
「ああ、わかった」
颯爽と歩く壮年の男性と背の高い男性と綺麗な女性。
その内の背の高い男性が私を見つけ目を丸くした。

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