キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
「相変わらず、きれいな景色だな~」
二十四階から見る景色はいつ見ても絶景だ、煌めく夜景を眺めてほうっとため息をつく。
時計をちらりと見れば午後九時を過ぎている。
今度は廊下につながるドアを見て、シンと静まり返ってるのを見てまたため息をついた。
寛子さんの提案は至極シンプルなものだった。
『会いたいのに逢えない上に彼の心変わりが心配。そして自分の気持ちがわからない。茉緒ちゃんの悩みはまずその三つでしょ?』
『ええ、まあ』
『なら簡単。彼に逢いに行けばいいのよ。逢えば全部解決するはず』
『え? いや、逢いたいのは山々なんですけどなかなかタイミングが合わなくて』
『彼の家のカギは持ってるって言ってたでしょ? いつでも来ていいよって言ってるものじゃない。それを使わない手はないわ。彼に内緒で家に押しかけちゃいなさいよ』
『で、でも、智成いつ帰ってくるかわからないし、門限もあるし』
そう、少しでも時間があれば逢いたかったけど門限のせいでままならず諦めたことなんて何回もある。
やけに忙しいらしい智成は無理してでも逢いに来ようとするから、少しでも休んでほしいと思ってそれはやめてと止めることもあった。
付き合いを反対してるお兄ちゃんのこともあるし家にも呼べず、どうにも動けないのが現状だ。
『そこはほら、私がいるじゃない。逢えるようにちゃんと協力してあげるわよ』
なにを企んでいるのか、ふふっとまるでいたずらっ子のようににやりと笑う寛子さん。
『いい案だと思うのよ? 会いたいなら逢いに行けばいいし、好きかどうかなんて逢ったら直ぐにわかると思うの。それに、茉緒ちゃんが逢いに来てくれたらきっと彼もうれしいと思うのよ?』
『そう、でしょうか? 逆に迷惑がられたりしないかな』
『大丈夫だよ、茉緒ちゃんは彼女でしょ? 彼に逢いに行くのに遠慮なんていらないのよ』
寛子さんはマスターと付き合ってる時なかなか逢えなくて、我慢ならなくなった寛子さんが会社を辞めて逢いに行ったくらいだし、その行動力と愛のための決断をした尊敬できる人で、そんな寛子さんに励まされると行ってみようかなという気にさせられた。