キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
で、数日後の今日、決行してしまったのだけど。
「内緒で押しかけるのは、失敗だったかな」
ぽつりと零れた言葉は誰の耳にも拾われることなく消えてしまった。
今日は土曜日で本来なら会社は休みのはずでお兄ちゃんも休みでどこかに出かけていった。
私はバイトが休みで昼過ぎにここに来たけど、もしかして智成家にいるかな? という期待は見事に外れた。
休日出勤が多かったから会社にいるのだろうか? それともどこかに出かけたか。
シンとしたリビングにがっかりしつつ綺麗好きの智成にしては家の中が少し散らかっていたので思わず片付け、使い慣れたキッチンで料理を作って待つことにした。
その間もしかして有川さんとデート? なんて一瞬頭をかすめたけど、ざっと見たところ家の中に女の気配がなくてちょっと安心してあらぬ妄想を飛ばすように頭を振った。
料理を作り終えた頃にはもう外は真っ暗で、手持ち無沙汰になるとぼーっと夜景を見てはため息をついてばかり。
出張の時は教えてくれてたから違うと思うけど、もしかして今日は帰ってこないのかな? 
せっかく寛子さんが協力してくれたのに、朝まで智成の家でひとりだったらこんなに虚しいことはない。
そんなことを考えてるとお腹がくう~っと鳴った。
智成が帰ってきたら一緒に食べようと夕食はまだ食べてない。
パーティのとき、美味しそうな料理を前にお腹が鳴って、智成に『なにすました顔してんだよ。思いっきり腹鳴ってたぞ?』って笑われたことがもう懐かしく感じる。
あの頃はまだ半月に一度は逢えてたのにと思うと寂しくて仕方がない。
お腹は空いてるけど、食べる気にはならなくて私はまたため息をついていた。

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