キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
それから息つく暇もなく引継ぎとプロジェクトのための出張が重なり俺は休日返上で仕事漬けの日々。茉緒と一緒にいるためならともう必至だった。
その間に父から見合いの話を正式に断られた有川社長が会社に乗り込んできてひと悶着あったが、実際に見合いをしたわけではないことを言うと、俺の性格を見越して見合いとは言わずに娘と引き合わせたのが裏目に出たことをやっと理解したようだ。苦虫を噛み潰したような顔をして黙って帰って行った。
見合いのために俺の部下として来た有川本人にもはっきりと言った。
『縁談がなくなったらここにいる意味もないだろう。腰掛のつもりで働いているのなら今すぐ辞めてくれて構わない』
『いえ、辞めません。生半可な気持ちできたわけではありません、私は仕事をするためにここに来ました』
意志の強い眼差しで言い返されてはもうなにも言うことはない。
彼女は秘書としては優秀で正直辞められるのは惜しいと思っていた。
有川に次の社長秘書を務めてもらうことに決め引継ぎをするため四六時中一緒にいることが多くなった。
それを面白く思っていないのがひとり。
陸翔だ。
仕事の引継ぎのためだと理解してはいるものの、茉緒かわいさに俺と有川が一緒にいるのが気に喰わないらしい。

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