キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
茉緒には(陸翔)の居ぬ間に泊りに来たと言ったが、本当は陸翔に頼まれここに来ている。
茉緒は二十五の立派な大人で留守番させてもなんの心配もないだろうに、別れさせたい俺を寄越すのだから陸翔の過保護も度を越している。
とは思っていても俺がこんなチャンスを逃すわけもなく行くと即答した。
だが一応初めに確認しておこうと陸翔に訊いた。
『いいのか? 茉緒と一緒にいて手は出さない、なんてことはないからな?』
『手を出すな、と言ってもどうせ出すんだろ? ったく、しょうがないじゃないか』
渋々といった調子の陸翔に俺は苦笑いが零れる。
『別に、茉緒をひとり留守番させたって問題ないだろ? 随分心配性だな』
『違う、茉緒を心配してじゃない』
『じゃあ、なに?』
単なる疑問を言っただけなのに苦々しそうに睨まれ、俺なんかしたか? と首を捻る。
『お前の働きぶりが心配なんだよ。智成、お前もう少し自分のこと考えた方がいいぞ』
『は? 俺?』
予想もしなかった答えに間抜けな声が出てしまった。
陸翔が茉緒ではなく俺を心配してるなんて思いもしなかった。
『秘書の仕事の上にプロジェクトにまで首を突っ込みやがって。オーバーワークを自覚してないのか? ここ一カ月以上休みもろくに取ってないだろう? 普通ならとっくにぶっ倒れてるぞ?』
『いや、まあ、オーバーワークなのは自覚してるつもりだが、このプロジェクトは会社にとっても重要だし、なにより父親に茉緒とのことを認めてもらう条件だから、無理してでもやり遂げないといけないし』

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