キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
仕事漬けの毎日に茉緒が陸翔に嘘をついてまで逢いに来てくれてものすごくうれしかった。
茉緒と一緒にいるだけで癒されて仕事のやる気が倍増したのは言うまでもない。それまで滞っていた仕事が急に進みだしたのだから効果テキメン。
単純かもしれないが俺にとって茉緒は元気の源でかけがえのない存在だ。
『茉緒も、ずっと暗い顔をしていたのがあの日を境に吹っ切れたように明るくなった。お前のおかげだよ。逆に俺は茉緒を怒らせて口をきいてくれないがな』
口をきいてくれない茉緒に少し参っている様子の陸翔に、散々俺たちの邪魔をしたからだと笑ってやった。
実は茉緒も陸翔に話しかけられないと悩んでいることは教えないでおこう。
『智成の気力が戻ったのが茉緒のおかげだというなら、お前たちを引き離しちゃいけないと思った。大事な時期なのにお前が潰れたら元も子もないからな』
『陸翔、お前がそんなに俺のこと心配してくれていたとは思わなかったよ。素直にうれしい、ありがとう』
潰れるつもりは毛頭ないが、素直に感謝を口にすると陸翔は照れたように頭を掻き、すっと真剣な表情になった。
『智成が本気で茉緒を愛しているなら、俺はもう何も言うことはない。茉緒を幸せにしてくれよ』
『ああ、任せてくれ。必ず茉緒を幸せにする』
やっと俺たちのことを心から認めてくれたのは喜ばしい。陸翔が味方になってくれたらこんな心強いことはない。
これでやっと茉緒も安心してくれるだろう。
『あ、茉緒には俺が許したことまだ言わないでくれよ』
『なんで?』
『いや、まあ、喧嘩中だし』
『そこは意地を張らない方がいいんじゃないのか?』
くくっと笑うと陸翔はバツの悪い顔をする。変に意地を張るとこは兄妹そっくりだな。
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