キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
精神的に追い込まれこれではだめだと気分転換にお手洗いに行った。
鏡を見れば悲壮感漂う疲れた顔が映し出される。
今辛いのは私ではなくお兄ちゃんだ。
なのに私が被害者みたいな顔してどうすると鏡の中の自分を叱った。
お手洗いを出て会議室に戻る途中、智成と有川さんと出くわした。
有川さんに笑顔で話しかけられ智成が微笑み頷いていて、二人並ぶと美男美女でとても絵になり一瞬呆けて見てしまった。
「茉緒、どうした?」
「あ、ううん。何でもない。お兄ちゃんは……」
「ごめん、まだわからない」
「そう……」
落胆の色を隠せずに俯くと気遣わし気に智成が私に触れようとして思わず後ろに後ずさった。
なんだろう、今は智成に触れられることがとても嫌だと感じた。
「私、戻るね」
「茉緒?」
なんだか涙まで込み上げてきて見られないように俯くと智成の横を通り過ぎた。
それからまた数時間。
外はもう真っ暗で、逆にニューヨークは一夜が明け被害の全貌が明らかになっていく。
お母さんたちと肩を寄せ合い固唾をのむようにニュースを見てただただお兄ちゃんたちが無事であることを祈るばかり。
そして、近くのホテルを取ったから今日はそちらで休んでくださいと言われ、重い腰を上げたときだった。
智成が会議室に飛び込んできて何事かとみんなが注目した。
「見つかりました、陸翔……八坂さんと益木さんは無事です!」
無事だと聞いた瞬間に私たち家族と益木さん家族は、わっと声を上げ手を取り合ってお兄ちゃんたちの無事を喜んだ。
よかった。本当によかった。
私は大喜びしてお母さんとお父さんに抱き着き大泣きしてしまった。

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