キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
証券会社で秘書をしていたという娘のかおりさんは美人でスタイルがよく社員、特に男性から歓迎を受けた。
彼女は社長の秘書となり、私の仕事が引き継がれた。
今までやっていた仕事がなくなるのは少し寂しいものがあったけど、専属の秘書で娘さんなら社長も遠慮がいらずに仕事がしやすいだろうと思った。
なのに時々社長が私のところに仕事を頼みにやってくる。
秘書のかおりさんに頼んでは? と言ったけど、『いやあ、あいつはまだ入ったばっかりで容量悪くてさ』と苦笑いの社長。
それもそうかと、あっさり納得して仕事を手伝っていたけど、それが違うと知ったのは同期で友人の滝ちゃんからだった。
かおりさんはろくに仕事もせず遊んでばかりいると。
職場には毎日出勤してるけど、確かによく外出をしていた。
仕事なのだろうと気にも留めていなかったけど、仕事を抜け出して遊んでいたとは驚きだ。
しかも配送担当の、それも浩紀のトラックに乗り込み付いて行ってるというのだ。
寝耳に水の私は浩紀に問いただした。
『なんか、やけに気に入られちゃって。社長の娘だし無碍にできなくてさ』
浩紀の頼りなさが発揮されて断り切れずに同乗させて、一緒に配送先を回っていると聞いた時には唖然としてしまった。
社長に訊いても同じように、『かおりは言い出すと聞かなくて手に負えないんだ』と苦笑いの社長も娘に甘くて頼りない。
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