ハニー、俺の隣に戻っておいで
二人が到着したとき、ニーナはみんなの注目の的になってしまった。 時折、興味深げに彼女を見つめる者もいたが、ジェームズが側に立っていたので公然と近づくことは誰にもできなかった。

「先輩、あそこ。 俺の友達はあそこだ」
ジェームズはニーナを引っ張ってテーブルまで歩いて行く。
「アドリアン、友達を連れてきたぜ」

シンプルなカジュアルスーツを身に纏ったアドリアンは、片方の腕で小柄な女性を抱き、もう片方の手はズボンのポケットに突っ込んでいた。

ジェームズの声を聞いて振り返ったアドリアンの視線はニーナに落ちる。 彼女は黒い髪を背中に垂らし、シンプルなパーカーとジーンズを着ていた。

素朴な服装だがとても活発そうに見え、美しさが際立っていたので、彼は煌びやかで魅力的なニーナの顔に魅了されてしまった。

「ああ、おまえか!」
アドリアンはそれが誰かわかると、ニーナに軽薄な微笑みを向ける。

ニーナもまた、目の前の男が誰か思い出した。 フォー シーズンズ ガーデン ホテルで彼女をジョンの部屋に押し込んだあの男じゃないか!あの時も色っぽい女性を腕に抱えていたが、いま目の前にいる女性とは違っていた。

「また違う子?何人いるのかしら?」
ニーナは軽蔑気味に鼻を鳴らした。仕返しする良い機会だ。

ニーナの質問を聞いたアドリアンの腕の中の女性は、「ソンさん、 どういうこと?私の他に女がいるの?」
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