ハニー、俺の隣に戻っておいで
そして、くっつきそうになるまで顔を近づけてじろじろ観察すると、 ニーナの柔肌、大きく無垢な涙目、キスしたくなるようなピンクの小さな口はあまりにも魅力的で、ジョンはキスすることしか頭になくなってしまう。

彼は無意識に顔を押し付け、蠱惑的な唇でニーナの暖かい頬をそっと撫でた。 わざとやったのかそうでないのか、彼自身にもわからない。

独特なタバコの残り香とミントの甘い匂いが混ざってニーナの鼻の穴にまっすぐ届く。 ジョンの整った顔は魔法のような魅力を持っていて、彼が近づいてくるほどニーナの顔はますます赤らんでいった。

ここぞという瞬間に彼女は首を傾けたのでニーナの唇はジョンの冷たい顔にほとんど触れなかったが、 ほんの少し触れ合っただけでもうニーナは震えていた。

そして、彼女の心臓はどういうわけかドキドキ高鳴っている。

静寂の中で、彼女のまばらな鼓動がはっきりと聞こえるのだ。

しかし、ニーナにはそれが誰の鼓動なのかわからなかった。

「ちょっと…… 離れてなさい」ニーナは腕を伸ばして全力で彼を押しのけようとしたが、無駄だった。彼女の声は挑発的なまでに柔らかくなり、本当の抗議というよりは恋人の腕の中に潜り込んでいる美少女の囁きのようで、まるで甘やかされた子供のように駄々をこねるのだった。

そんな声が出るや否や、ニーナは自分自身の媚態に驚き、おどおどした。

「もうちょっと素直だったらましなんだが」ジョンは下腹に欲望の炎を燃え上がらせながら嗄声でそう言う。 ニーナと同様、ジョンの瞳の奥にも柔らかさが見て取れそうだ。

この例えようもない感覚はまったく素敵だった。
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