ハニー、俺の隣に戻っておいで
自分の名前を聞くとジェームズは慌てた。 ジョンの声はとても力強かったので、誰の注意を引くのにも十分なのだ。

ニーナは口を尖らせて「あなたのことを叔父だと思ったことはないんだけど……」と言いった。

彼女はふさわしい呼び方が思いつかないからおじさんと言っていただけなのだ。 そもそも、あれは二人の取り決めのせいであり、 ジョンにビデオを削除して欲しかったから親しげにおじさんと呼んでいたに過ぎない。

ならば、二人の間に何もなくなった今、 彼をおじさんと呼び続ける理由はもうないではないか。

窓からそよ風が吹き込んでニーナの絹のような髪を瞼の前にかぶせると、 彼女は思わず髪を掻き分けた。

しかし、このちょっとした行動がジョンを興奮させた。

「叔父さんが嫌だって言うなら、おまえの男になってやってもいいぞ」

ジェームズは深呼吸して、ジョンの方をまるで赤の他人のように眺める。

ジョンはすでに若者ではなかったが、女の子の気を引く方法は忘れていなかったのだ。

ジェームズはまったく叔父を過小評価していたようだ。

そして二人の邪魔はしたくなかったのでミシェルを引っ張って離れた。

ニーナは口をキュッと結び歯をしっかりと食いしばっていたが、 この男は性的欲求に突き動かされているだけの獣だと確信していた。

そして彼の明るい瞳をじっと見つめると、思わず拳を握りしめた。

すでに殴る準備ができたのか、指の関節がポキポキ鳴っている。 「あなたが私の男になりたいんだったら、殴られても我慢することね。 いいかしら?」ニーナはそう言って挑発する。
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