ハニー、俺の隣に戻っておいで
お嬢ちゃんが自分の意志で腕に飛び込んできたのはこれが初めてなのだ。

まだくぐもった嗚咽が聞こえたので、ジョンは心配そうに眉をひそめると優しくニーナを抱きしめ、 子供をあやす父親のように彼女の背中をさすった。

彼は以前に義理の姉からこの方法を学んでいた。 ジェームズは子供の頃、一度泣き出すと止まらなかったので、ジョンがそうやってあやして眠らせていたのだ。

気づかないうちに、ジョンはニーナに対して以前より優しい気持ちになっており、 嗚咽が少しずつおさまるまでそっと彼女の背中をさすっていた。 しばらくすると、さっきまでのすすり泣きがようやく、ゆっくりとした呼吸の音に変わる。

泣き疲れたニーナは、酔っ払っていることもあって眠りに落ちてしまったのだろう。

そして小さく丸まると、身体の半分をジョンの腕に心地よさげにぴったりとくっつけ、 置いてきぼりにされるのを恐れる孤児のように片手でシャツの袖を引っ張っていた。

ジョンはニーナを起こすまいと、微動だにせずに 自分の席に寄りかかったまま、ヘンリーにスピードを落とすように命じた。

彼らが屋敷に到着したときにはすでに夜も更けており、 ジョンの両足はニーナの体重で麻痺していたが起こすのは忍びなかった。 何しろまだぐっすり眠っているのだ。

窓の外では冷たい風が吹き荒れている。 ニーナは少し寒気を感じたらしく、暖かさを求めてジョンの腕に潜り込み、全身をもたせかけて温まろうとする。

閉まっていたのは後ろの窓だけで、開いたままの前の窓から冷たい風が吹き込んでくる。 ニーナが震えているのを見るとヘンリーはすぐに前の窓を閉め、後部座席で互いに寄りかかっている二人の様子を大胆に伺った。
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